キノコテラリウムで生えてきたヌメリスギタケを樹脂標本にしたので、作り方を解説します。
キノコテラリウムの作り方と樹脂標本の作り方は以下を参考にしました。
用意するもの
- 乾燥剤(シリカゲル or モレキュラーシーブ+防滑剤)
- 乾燥用の容器
- 真空パック
- 刷毛や筆など
- シリコン型
- 真空ケース
- ポリエステル樹脂+硬化剤
- 耐水紙やすり(#120、#240、#600、#1000、#1200)
- 紙やすりが入る大きさの容器
- 金属磨き
樹脂標本の作成
乾燥
乾燥剤に関してはモレキュラーシーブを使う方法とシリカゲルを使う方法があります。モレキュラーシーブは試薬を取り扱っている業者からでないと購入できないですが、シリカゲルの3倍の吸湿性があるので、乾燥時間を短縮することができます。
モレキュラーシーブは以下のサイトで購入しましたが、送料を入れて5000円くらいかかったので、シリカゲルのほうが安いです。
青木薬品商会
乾燥方法の概要は以下になります。今回はモレキュラーシーブを使う方法を解説していますが、シリカゲルを使う場合はキノコをシリカゲルで埋めて真空パックすればOKです。
容器の底にモレキュラーシーブを敷き詰める
容器の底に1~2 cm程モレキュラーシーブを敷き詰めます。量は試料の大きさで加減してください。
防滑剤でモレキュラーシーブの隙間を埋める
モレキュラーシーブは粒が大きいので隙間が無くなるように防滑剤(珪砂)で埋めてください。
キノコを置いて防滑剤で埋める
キノコの形が崩れないように優しく防滑剤を入れていって、キノコを防滑剤で埋めてください。(ヌメリスギタケで作る時に、写真を撮り忘れたのでシメジを使っています。)
モレキュラーシーブで容器を満たす
キノコが防滑剤で埋まって見えなくなったら、容器の残りをモレキュラーシーブで満たしてください。
モレキュラーシーブを防滑剤で埋める
再度モレキュラーシーブの隙間を防滑剤で埋めてください。
蓋をする
密閉されないような方法で蓋をしてください。ここではティッシュと輪ゴムを使用しています。
真空パックする
容器を袋に入れて、ポンプで真空にしてください。ここではAmazonにあった真空パックを紹介していますが、筆者はセリアで真空ポンプと袋(大)をそれぞれ100円で購入しました。
冷凍
真空パックしたものを1週間程、冷凍庫に入れて乾燥させてください。キノコの大きさによって乾燥させる期間を調整してください。試料としてキノコではなく、花などの植物を使う場合は脱色してしまうので、冷凍せずに常温で置いておくほうがいいかもしれません。
樹脂包埋
樹脂包埋している所の写真を撮り忘れてしまいました…再チャレンジできたら画像を追加します。
樹脂は3層構造で作ります。1層目で試料を置くための土台を作り、2層目で試料を固定し、3層目で試料を完全に包埋します。試したことはありませんが、層構造にしない場合は試料を樹脂の中心に固定するのが難しかったり、効果した際の樹脂の変形が大きくなるようです。
キノコのクリーニング
容器から試料を傷つけないように取り出し、刷毛や筆でキノコについたシリカゲルや防滑剤を落としてください。カラカラに乾燥していると、少しの衝撃でカサが取れたりするので注意してください。
1層目の流し込み
ポリエステル樹脂100に対して硬化剤2の割合(使用する樹脂の説明に従ってください)で混ぜ合わせ、5~10 mm程の高さまでシリコン型に流し込みます。試料の高さに合わせて量を調節してください。樹脂を混ぜ合わせる時は空気が入らないようにゆっくり混ぜ合わせ、流し込む時も空気が入らないようにゆっくり注いでください。流し込んだ後は真空ケースに入れて空気を抜き、泡が出たらケースを開けて爪楊枝などで潰す操作を3回程繰り返すと気泡を減らすことができます。空気を抜いても泡が出なくなったら暖かい場所に置いて1日程硬化させます。
試料の固定
1層目が完全に硬化していたら、試料を置き、試料の高さの半分程度まで樹脂を流し込みます。樹脂を入れ過ぎると試料が浮いてしまうので注意してください。1層目がヌルっとしている場合はアセトンで拭き取ります。1層目と同様に泡を除去して暖かい場所で1日程硬化させます。
試料の包埋
2層目が完全に硬化していたら、試料の残り半分を樹脂で覆います。試料ギリギリの量だと、後で研磨する際に試料が露出してしまうので、上部に余裕を持って流し込んでください。これまでと同様、流し込む前に未硬化の部分はアセトンで拭き取り、泡を除去してから、暖かい場所で1日程硬化させます。
研磨
硬化した樹脂は表面が反っていて平らで無かったり、気泡が表面に出ていたりするので、研磨して形を整えます。
#120と#240での研磨
基本的には#240(反りや気泡が大きい場合は#120の後#240)で削り、表面を平らにします。バットなどに水を張り、耐水紙やすりをつける。紙やすりが水に馴染んできたら、試料の1つの面に対して1方向のみ動かすように紙やすりで研磨します(1つの面で縦と横に動かさない)。6面全部平らになったら完了です。研磨したことで表面が白く曇ったようになりますが、仕上げで透明になるので大丈夫です。
#600での研磨
#240で研磨した向きと90度ずらして(#240でついた線と垂直になるように)、#600で研磨していきます。#240で削った線が全て消え、#600で研磨した線のみになったら次に進みます。
#1000、#1500での研磨
#600と同様に90度ずらして研磨し、全ての線が#1000の線で上書きされたら完了。#1500も同様にします。#240で研磨したときよりも曇りが薄くなっています。
金属磨きでの研磨
金属磨きを柔らかい布に付けて、透明になるまで研磨します。紙やすりの線が無くなるよう、心ゆくまで研磨してください。
完成
完成です。1層目で樹脂を速くかき混ぜ過ぎたため、細かい気泡がたくさん入ってしまっています。
側面から見ると、3層構造になっているのが、ハッキリわかってしまいます。境目をどうやったら消せるのかが、現在の課題です。
以上でキノコの樹脂標本の作り方の解説は終了です。気泡や層の境目など、まだまだ問題点がありますので、次回で改善していきたいと思います。問題点の解決方法等ありましたら、コメントでアドバイスしていただけると幸いです。